晴れ渡る空。 まだ堅い制服。 同じ学校出身の友達と ざわざわお喋りしながら 坂道を登る。 みんなそれぞれ似たような思いを抱いている。 「ざわざわざわ…すぅー。っとん!ざーーー。」 心の中はこんな感じ。 私は引っ越してきたから 誰とも一緒じゃない。 靴箱前のクラス発表だって 教室への階段だって 誰とも一緒じゃない。 けど、寂しくなんかない。 さっきから、 そう、教室で席についたさっきから じーっと動けずにいるあの子に声をかけたもの。 その子も一人なんだって。 前の所にちょっぴり未練、そんな感じみたい。 だから、「しょたいめん」だけど 私のとっておきを見せてあげたの。 「これね、周りの風景が見えるの。」 大切な大切な万華鏡。 覗くと教室の黒板や教卓がきらきら光ってぐるぐる見えた。 そうやって楽しんでいると 知らない人がきらきら光ってぐるぐる見えた。 「それなぁに?」風景が紺色いっぱいになった。 「これね、周りの風景が見えるの。」 きらきら輝く空をみんなで交代ばんこに見る。 うん、絶対ここでの生活好きになる。 |