○SSの引き出し

・山奥の神社2


鳥居の赤はトリッキーだ。

上っているのか下っているのかも定かでない中、
歩きつつそう思う。

人の殆ど居無い村で神社の存在を知った。

何の神だろう。
思っている内に向かっていた。

一人が守っている所らしい。

祭りが無い。
神事が無い。

村民は神を大切にしはしないのだろうか。
そもそも本当に神社なのだろうか。

見えた。
建物であることは間違いない。

人が居。た。
椀がある。
白いあれは何だ。

そっと履き物を脱ぎ上がり、
少し歩いて手を伸ばした。

…ところ、その子は気づかぬうちに現れ
それを拾うと部屋の隅へ立った。

笑い声が聞こえたような気がした。

竹箒が倒れたそちらに目をやると
「いらっしゃい」と言われた。

一瞬、女性かと思ったが男性のようだ。
神主の格好である。

「どうも」とだけ短く答える。
お茶をもらいここについて聞く。

「山の神です。
 若者も村には少なくなりまして
 祭りはもうありません。
 ご老体でここまで上がって頂くのもなんですから。
 確かに神社らしくないかもしれません。
 神もお怒りにはなりませんでしょう。
 一応ここは守ってあります。」

静かでやさしい口調だった。

日も落ち、一晩泊まらせてもらい、
今、村へ入っていく。

池に余計な物を捨てると、村家に入った。
空き家減ひとーつ。






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