○SSの引き出し

・夢告げ


こんな夢を見た。

夜中にふと目を覚ますことがよくある。

今日もやっぱり覚めて、
目は閉じたまま耳だけどこかの家で水を使う音を聞く。

そっと目を開けてみると、
あなたの肩が見えた。

ぴったりとつけていたおでこを外し、
あごを少し上げると、あなたの寝顔が見えた。

外から漏れ入る光でぼんやり照らされたラインを
薄暗い中ぼんやりと、でもじっと見つめていたら、
あなたの寝息がすーっすーっと耳に届く。

そっと手を伸ばして指でラインをなぞってみる。

優しく優しく。そっとそっと。確かめるように。

顔のラインと指のラインが光で白くつながれる。

そしたら、ざわざわ不安なのかほっと安心したのか
涙がほろほろ流れ落ちた。

ほろほろほろほろと泣くだけ泣いてすっきりすると
またふっと眠りに落ちた。

次に覚めると髪をなぜる手を感じた。

しっとりと濡れた枕に頬が触れて理由を知る。

窓からの光はまだ少し低く抑え気味で、
その強さは頭に感じる程度と同じだった。

私はゆっくり目を開ける。

そんな夢を見た。

私は目を開けると、ほんのりと明るい光を受け
急いで寝床を抜け出し、ぱっと身支度をし、
昨夜の小さな鞄だけ持って、家を飛び出した。

ぐずぐずしている暇はない。

公園の時計が長針と短針を重ね合わせ、
未来は今、その時を告げる。






トップへ戻る